Helter-SKelter

アニメとゲームが生き甲斐の偏屈者

同人誌「ブロークンハート」あとがき蔵出し編(加賀見まさらへの歪んだ愛を叫ぶなどの回)

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三年前に頒布した、マギアレコード二次創作の小説同人誌「ブロークンハート」を無料公開した。

この三年間、まったくと言っていいほど創作活動をしていなかったので、次回作へのモチベーション向上と、制作の勘を取り戻すために、あとがきに収まりきらない・今だから書ける小ネタ、再録にあたって読み直した感想や反省点、書きたいことを書きたいだけ書いておく。

(こういうのってFANBOXあたりで書くのがイマドキのやり方だろうけれど、あれは色々と趣味じゃないので……)

タイトルについて

こころ亡き後のまさらに、心は残るのか――

「粟根こころ」が死んでるのでそのまんま「ブロークンハート」。

リメイク前「THE GRIEF合同」での執筆中の初期タイトルは「ハートブレイク」。改題の理由は大きく分けて三つ。あまりに直訳すぎてダサいこと、タイトル・固有名詞として語呂が悪いこと、「ブレイク・ザ・ナインフェイズ」とタイトルが被ってしまったこと。

本作に限らず、私にとって作品とは「作品を一言で表せる、声に出して読みたいタイトルありき」。あらすじを決めた時点でタイトルが自然と決まっているけど、思考パターンとしては「トップダウン」に近いのかも知れない……?

タイトルロゴは「オリエンタル」の加工。

・斜めにカットされた縦線に見られる、エッジの効いたデザインが気に入っている。
・そのまま使うには、直角の折れ曲がりなどが単調に見えたので、斜めに変形。
・伸ばし棒(ー)がただの棒だったので「ハの右側」を切り取って使用。

だいたいこんな感じ

改めて見てみると「ハート」の縦並びがくどい、伸ばし棒としては長すぎたかもしれない。

時間の設定について

ワルプルギスの夜の襲撃が「2019年3月22日(金)」である理由の話。

これは現実世界で言うと最終決戦イベント「Last Magia」が開催された頃で、他にも前日21日から当日22日にかけて(ワルプルギスが来たレベルではないけど)雨や雪で不安定な天気だった一方で、桜の開花も確認されたりしていた。

まさら魔法少女ストーリー(略してMSS)は、まさらとこころが夏祭りに行くまでの話なので、それよりも前の「花見」には行っていないはず。ならば、それができなかった痛恨の念を盛り込もうと思って、マギレコ世界と現実世界からイイとこ取りをしたのが、この設定。

「今度は桜を見たい」というラストの台詞にも、上手く結びついたと思う。

まさらのドッペル

「羨望」の性質について

まさらの性質は、自分が理想とする姿さえ自分の中にはない「虚無」と考えていた……とはいえ、それは魔女としての性質を表す言葉としてならともかく、魔法少女・人間的な感情を表すにはしっくりこない、ということで「羨望のドッペル」とした。虚無感ゆえに人一倍強く根差した羨望の感情、という位置づけ。感情に乏しい自分と、そうではない他人を比較した「羨ましいとすら思う」という述懐(まさらMSS1-2)を踏まえても、違和感のないものだと思った。

候補として「憧憬」も検討したものの、「憧れ:理想を思い描き、心惹かれる」よりも「羨む:自分もそうありたいと、他人を妬ましい程に思う」方が、他人に依存しようとする心理、一層ネガティブでドッペルらしい表現になる気がした。

今でこそ「索漠のドッペル その姿は凪」という公式の解が出ているし、異を唱えるつもりはまったくないけれど(まさらはドッペルでさえも、あくまで「何もない」という一貫性は流石だと思う)加賀見まさらについて理解しようと、2019年の当時なりに本気で向き合っていた姿勢・情熱は、今でも誇れることだと思っている(そして取り戻すべきものである)。

「双翼」の姿について

「羽の生えた人間」が好きな私の目の前に羽を生やせと言わんばかりに背中の開いた衣装を着た子がいたらそりゃあ生やしたくなるでしょ!公式のドッペルも羽のような形で大大大大大満足ですよ私は!!!

デザインの出発点は100%趣味だけど、「他者をうらやむ⇒醜い黒い羽と、光り物を集めるカラス」というところまで決まっていたモチーフが「イソップ童話:虚飾で彩られたカラス(別題:おしゃれなカラス)」にあてはまったのは良かった……というのは、「設定監修」をいただいたお陰。あれがなければホルス神だとかに迷走していた。

肩甲骨が変化して翼が生える、体を持たない翼だけのドッペル。「目の付いた翼」にしたかったのと、頭を生やす場所が思いつかなかったので、生物としてはカラスだけど、それは名に冠さず「双翼」とした。

「目の付いた翼」は「顔~目元のアップ、威圧的な視線」をそのまま翼にしてみたい、という意図のデザイン。

こういうやつ。
まどかマギカ劇場版後編のラスト、新編予告シーンのほむら。
あとペルソナの「カッ」「ブチッ」あたり。

オーダーした当時から「翼に目が付くとエヴァ新劇場版の第8の使徒(サハクィエル)っぽいイメージだな」とは思っていたものの……3年後、もっと具体的なイメージを潜在的に秘めていたことがわかった。

bandaicandy.hateblo.jp

羽根型の刺々しい下まつげ(?)とかガオイカロスやんけ!!

戦隊シリーズ仮面ライダーよりも放送時間が早かったせいで(当時)ほとんど見ていなかったけど、ガオレンジャーはおもちゃが気になっていて、子供の財力では手が出せないちょっとした憧れだった……という当時の記憶を、十数年ぶりに思い出した。

記憶が薄れて無意識的なすり込みに落とし込まれているのは怖いな、と思った話。

(あとSMPガオイカロスとガオハンターを衝動買いした)

「Crossandra/クロサンドラ」の名前について

花の名前が由来。

・粟根こころを連想するような、黄色~オレンジ色の花。
花言葉は「友情、仲良し」「理想の美」「虚飾」
・桜を見られなかった、過ぎ去ってしまった春がターニングポイントであり、その後に咲いた、夏の花。

www.language-of-flowers.com

「ほとんどのドッペルは、何かしらの人名や固有名詞なのに、花の名前でいいのか?」と制作当時は考えていたものの、ドッペルとの一致度でこれ以上に似合うものを思いつかず、「サクラとかユリとか、花と同じ名前の人がいるのだから、クロサンドラだってアリ(?)」という言い訳で押し通した。

宮尾時雨の「隔意のドッペル Aztekium/アズテキウム」がサボテン科そのままの名前だったのは2ヶ月後の話。

再録前に読み返して

シーンの切り替わりが早すぎる、バトルが薄い

当時の執筆スケジュールの都合……という言い訳にも限界があるぐらい薄い。

「あなたまで、傷つけたくはなかったんですが……」
「さて、傷一つでも付けられるかしら?」

こういう言葉遊びと即オチは、気に入っているから、まだいいとして――

例えば紅茶を飲むのが20-24Pで、黒羽根残党と対立してるのが27-31P、どっちもページ数にして同じぐらいというのは、正直いかがなものか。

長ければ何でもいいというものでは断じてないけど、深み・厚みを出せるような文章力の向上と、全体のバランスも考えておきたい。

八雲みたまが思っていた以上に喋っていた

まさらの交友関係では出せるキャラが限られるし、「こころの死」という展開と「死の後に残されたもの」を扱う上で、「メメントモリ」という言葉が関連付けられている八雲みたまは、扱いやすい。

――という建前もあるけど、本質的に「みたま×まさら」を書きたい欲が隠せていない。

思えばまさらMSSラストも「守りたいものがあればこそ強くなれる」というみたまの独白で締め括られているし、まさらの後方母親面してる(?)みたまが好きすぎる、まさらより好きかも知れん(???)

メイン・イベント両方のストーリーでの幅広い活躍、CV堀江由衣の演技力の強みで、お茶目でお節介なコメディ調、正反対のシリアス調、どちらにもなれる・書いてて違和感がなくて使いやすすぎる。

好きなキャラではあるけど、話の展開を頼りっぱなしになるのも考え物。

あとがきで未来予知をしていた

これは2019年に頒布した本で、今2022年に新しい本を作ろうとしている。

奥付に「令和元年」の文字を刻む野望は果たせたことだし、あと三年は本を作りたくないな、という気でいる一方、書きたいネタは片手で数え切れないほどあったりもします。

「三年」の根拠は特になく、その場の気分で適当に書いたものだけど、未来予知になっていたのは怖い。

「こうやってあとがき擦ってるより新しいネタで書こうな」と我ながら感じてきたところで……次を頑張ることにします。