Helter-SKelter

アニメとゲームが生き甲斐の偏屈者

「芸術家」になろうなんて、思ってなかった

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画像はイメージでフリー素材です

考え事をしていて、ネットのとある性格診断を受けてみた。

その結果は「芸術家タイプ」。

進学、職業適性。過去に二度、三度と見せられてきた、忌々しいものだ。

感性、性格によって診断される結果・問題ゆえに、知らない人は知らないと思うので、念のために書いておく。この「芸術家」とは「協調性がない」「人の好き嫌いが激しい」「ものすごい集中力を発揮する代わりに周りが見えなくなりやすい」など、社会不適合ギリアウトぐらいの、INFPとかではなくてADHDではないかと思うような結果が婉曲的に表現されたものだ。

なりたくて、こうなったわけじゃない。ならざるを得なかった、最初から持って生まれてしまったのだ。

あるがままの自分を受け入れてくれない社会が嫌いだった。自分を曲げること、曲げさせられることが、小中学生の頃から嫌いだった。人と違うアニメが好きなだけで、体育が人より出来ないだけで、排斥されることが、理不尽で腹立たしかった。世界を憎んでいた。

その上で、昔からアニメ、ゲーム、漫画、あらゆる作品群が好きだった。しかも、異様なこだわりを生まれ持っていた。

デジタルモンスターデジモン)』は、初代の電子ゲーム機(たまごっちの兄弟機)の頃から知っていた。一年早く始まっていた『ポケットモンスターポケモン)』も人並み程度には好きだけど、リアルなデジタルの世界に生きているデジモンの方が、今も昔も好きだ。

その中でも特に好きなデジモンが、携帯機Ver.1、本当の初代デジモンから登場している「メタルグレイモン(青・ウィルス種)」だ。

digimon.net

オレンジの基調を青い文様で引き締めた、ヒロイックな体色が特徴の恐竜型デジモン「グレイモン」の名を引き継ぎながら、反転したように毒々しく血の気のない*1青い体色、戦いの果てに機械化されて生き長らえているという、ただ格好いいだけではない、壮絶で悲劇的な設定に心を躍らせていた。それ自体については何故なのかと聞かれても、デストルドーとでも言うべき何かに生まれながらにして目覚めていたのかもしれない、としか答えようがない。正直、自分の方が教えて欲しい。

ともあれ、そんな風に大好きなデジモンが『デジモンアドベンチャー』としてアニメ化された。今なお『Butter-fly』が語り継がれ、続編・リメイクも制作されている、文句なしの名作だ。

しかし放送当時、思い切りしかめ面をしてしまったエピソードがある。第16話「暗黒進化!スカルグレイモン」。主人公・八神太一がパートナーのアグモン(→グレイモン)のさらなる進化を求めるあまり、グレイモンを打ち負かしてしまう強大な敵デジモンに対して、生身の人間でありながら囮になろうとする「無謀」という悪感情に反応して、サブタイトルの通り「暗黒進化」をしてしまう。

その展開自体はいわゆる「闇堕ち」で嫌いではないものの、「間違った進化」という言葉が使われたことに、強い違和感と嫌悪感を覚えた。デジモンは進化する生命体であって、進化することそのものが悪いことではないはずだ。「メタルグレイモン青」のように、滅びへ向かうこともまた進化であると考えていた。現代的に言えば「解釈違い」だったからだ。「(世界を救う目的に沿っていなかっただけで)進化に正しいも間違いもない」という最終回の台詞で最終的には救われたものの、あの日の嫌悪感は、はっきりと覚えている(「何話」という数字を具体的に暗唱できるレベルでは覚えていないけれど)。

こんな風に、人よりちょっと強いこだわりを、何故か生まれ持ってしまっただけだ。『マギアレコード』で同人活動・小説の執筆に手を出したことだって、(ソシャゲ・スマホゲーム特有の)キャラ多すぎ→好きなキャラがストーリーになかなか出ない→だったら自分で書こう、「好き」を証明しようというだけのことだ。正直、タイトルとシチュエーションを決めたら自動生成してくれないかと思っている。

でも自分で書くからには、声に出して読みたくなったり、五感に訴えかけるような地の文や台詞回し、キャッチフレーズ的な言葉としての格好良さを追い求めたいと思っている。ゲームでは地の文が現れにくいのだし、そうやって差別化を図っていくべきだ。

「芸術家」になろうなんて、思ってなかった――けれども。譲れない「こだわり」のルーツが、生まれ持ってしまったものならば、それを「芸術家」の域まで昇華させてみてもいいんじゃないか。「なろうと思ってない」、自分にそう言い訳をして、そうなれる努力をしていなかったんじゃないのか。その素質があるのか、試してみてもいいんじゃないのか。もっと真摯に、書き上げることを目標にするべきじゃないのか。

しょせん誰が書いたのかも分からない、ネットにありふれた診断の一つだけど、自分を見つめ直すきっかけになったことには、感謝しておく。

それと知人が勧めていた漫画『ブルーピリオド』が、おそらくこういう「作ること」と向き合う話なので、アニメが始まる前に読んでおこう……と思いつつ、3ヶ月ほど前に当時最新だった9巻まで買ったのに、積ん読のまま10巻が発売してしまったな……という日記でした。

*1:設定が統一されておらず諸説あるが、腐敗しているとするものもある