Helter-SKelter

アニメとゲームが生き甲斐の偏屈者

「まどかマギカ Anniversary Stage」が最高だったので全人類に見てもらいたかった話

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「ワルプルギスの廻天」制作発表をはじめとする新情報の数々に圧倒されてしまったものの、それ以外のコーナーも最高だったので見てもらいたかった、という感想。

4月25日に開催したイベントの見逃し配信が5月1日いっぱい(23時59分)までしか見られない、当日含めて7日間の視聴って短すぎない!? 配信があるからってレポート記事とかもないし、あまりにも記録が残っていなさすぎない!? と危機感を覚えたので、書いています。

⇒これ朝6時に書き終えたんですがそのあと13時にコミックナタリーのレポートが上がってました。まあ、前説まで事細かく書いてなかったり、逆にわたしの感想とは違うところも拾ってるので、両方とも見て……。

natalie.mu

前説のマミさんがとてもマミさんだった

「たとえマスクをしていても、あなたの瞳から伝わってくる、熱い視線……。ごきげんよう巴マミです。こんな世の中だからこそ、今日この日、こうしてステージに立てること、十年間ずっと支えてくれたファンのみんなのお陰です。」

十年間積み重ねたキャタクター性と時事ネタを絡めた第一声。観劇マナー・配信の撮影と録音を禁止する旨の説明を「あなたの脳裏にしっかりと焼き付けて」「あなただけの特別な思い出にしてほしい」とロマンチックな言い回しで締めるところが、マミさんらしくてとても良かった。

あれ。イベントに出ないのに「ステージに立てる」って、何だ……? と、思いきや。

「それでは、聞いてください。『恋のティロ・フィナーレ』!

まどかマギカポータブル(PSPゲーム・2012年発売)のネタ、今更また拾ってくれるなんて思わなかった……! 十年って重いな……!!

近くに魔女が出たので退治してくる、という体で退場。そういうわけで、巴マミ役・水橋かおりさんはイベント出席叶わず、事前収録の前説のみの出演。短い出番ながらも、気持ちを十分に盛り上げてくれました。

キャスト・登壇者紹介がノリノリだった

喜多村「みなさーん、ソウルジェム濁ってますかー!?」

悠木「濁ってるの!?」

喜多村「美樹さやか役・喜多村英梨でーす! よろしくお願いしまーす!」

MC・松澤千晶アナ「きっと終わる頃にはピッカピカ!」

Abemaオーディオコメンタリーから引き続き登場したネタ。気に入ったのでしょうか。

加藤「キュゥべえ役の加藤英美里です!今日はみんな配信の契約どうもありがとう!
松澤「こわい!(笑)」 悠木「配信の契約!(笑)」

「配信」という今の時代ならではの形態に「契約」というキーワードが即座に結びつく、理解の深さ・役者魂を見た。

喜多村「あおちゃんなんかもう、まどマギオタク代表として今日のお衣装が……」

悠木「フェリシモさんとまどかマギカコラボのワンピースを着ております!」

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野中「かわいい~」喜多村「おしゃれ~! わかんなかった、一瞬」

悠木「さらっと着てみようと」喜多村「さらっと着こなしてますよ」

悠木「くっちゃかわいいですよね!(※誤字でなく) ほむらちゃん家の壁紙の柄です」

斎藤「うちの壁紙……」

悠木「ほむらちゃん家の壁紙の柄を着ちゃう、ヤバいオタクになれる」

悠木「でもこれめっちゃかわいい! 他にもすごい色んなかわいいグッズが十周年ということで展開されているので是非みなさんよろしくお願いします(律儀に頭を下げる)

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度々あるゲームの収録などで時間が経った感覚はあまりないし、最近は十周年のコメンタリーやインタビューでペアの収録もあったけれど、こうしてみんなで集まるのは久しぶり……という語りから、和気藹々とした和やかな雰囲気で始まりました。既に情報量が多い。

「改めて作品を振り返るコーナー」が深い

阿澄佳奈さん(百江なぎさ役・ただし声は普通)のナレーションとダイジェスト映像で、十周年を契機に作品を振り返る、最初のコーナーがスタート。ご丁寧に「当初はかわいらしいビジュアルを全面に押し出した、魔法少女ものとして宣伝活動が行われていた」というところから始まりました。

悠木「……こんな歴史でしたね」喜多村「重たいですね、相変わらず」

悠木「本編の流れにグッとくる中で、(映画の)舞台挨拶の若い自分見せられるとヤバい。ピンクのカーディガン着てる、やっべー

松澤「自分の人生の十年と共に振り返りますよね」

悠木「十年の間に色んなことが……ずっとこの話しちゃうな

当時まだ学生だった悠木さんからこういう言葉が出てくるの、重い。

1-3話

3話ずつ話数別にトピックをまとめたスライドで展開。まずは1-3話、「マミの死」で盛り上がる一同。

喜多村「マミの死がこう、マーミングポイントですよねー」

松澤「……え、今、なんて? マーミングポイント……?」 

十年経ってから「マミった」に新しい呼び方がつくなんて思わなかったよ。

キャストの皆さんは、雑誌のインタビューなどでも既に聞いた、3話から業界内で別の現場でも話題になった、などの話もありつつ、当時TBS所属だったMC松澤さんからも「TBS社内でも話題になっていた」という話が出たのは新鮮でした。

4-6話

悠木「失恋の悲しさで髪切っちゃう、みたいなノリで魔法少女になっちゃったさやかちゃん……」

喜多村「本当にバカな女だよ! あたしってほんとバカ代表だよ!

野中「わかるよ! でもわかるよ! 愛おしくなりますよね、なんか」

喜多村「純粋にその歳の青春を代表したようなキャラクターと、そのストーリー展開でね。こういう演出をいちキャラクターでもらえるっていうのは、役者としてもとっても嬉しかったですね。まどかが王道のザ・主人公でもあるけど、ちゃんと他の魔法少女にもスポットが当たる演出があるっていう。(さやかは)一番青春して……真っ青ですからね! 青臭いどころか! 絶対キュゥべえに一番チョロって思われてんだなって!

軽口を挟みつつも、美樹さやかというキャラクターや、作劇について語る喜多村さん。まさに美樹さやかが乗り移っているような、とても親しみの持てる語り口でした。そして佐倉杏子の声なのに台詞が優しい野中さん、申し訳ないけど笑ってしまう。

7-9話

松澤「杏子がさやかに、なぜああいう風に寄っていったのか? が、痛いくらいに分かるというか……『誰かのため』って、本当に誰かのためなの? みたいな……マミさんが投げかけていたことが、ここで刺さってきますよね

良くも悪くも「役」に縛られがちなキャストとは違う、作品を俯瞰している視聴者の一言。MCとして非常に理想的だったと思います。

喜多村「仁美にあそこまで正論出されちゃうと、逆に戦えないのもさやかの優しさというか……。友達を立ててあげたいっていう気持ちと、自分の恋心との葛藤を……まどかにぶつけるっていう! 一番やってはならない、最悪な!

悠木「まどかはきっといくらでも受け止められる人だったんですよ! 上手じゃなかっただけで! どっちも14歳だったんですよね!

喜多村「こうやってまどかに泣きつけるだけ、まどかの存在はさやかにとって救いだったと思いますよ」

悠木「十年経って、話を聞いてくれることしかできないんだけど、聞いてくれるだけの友達がいかに重要かっていう……すごい思って。当時まどかをやってる身からすると、お前もっとグイグイ行けよ! って、思っちゃってたけど……」

喜多村「なのにも関わらず、濁りに濁り! オクタヴィアになり!(体を左右に揺らすオクタヴィアのポーズ)

十年の積み重ねを経て、各話をじっくりと振り返る機会だからこそ出てくる言葉は、どれもとても深い。なのに喜多村英梨はどう見ても笑わせようとしてくる。

10-12話

松澤「いよいよ色んなことがはっきりしてきて……ほむらちゃんが何度も何度も繰り返して今に至る、ということだったりとか」

斎藤「急~にすごい難しいこといっぱい出てきたな」

喜多村「時間遡行! インキュベーター! ワルプルギスの夜 新聞みたい、なんか(笑)」

斎藤千和の毒舌が光る。

斎藤「十年経ってみて、自分が演じる必要があったのかなって、今の方が思えるかもしれない。たぶん碧ちゃんと同じくらいの歳の私があの役を渡されても、演じられなかったな、っていう。正~直な話よ? すごくがっかりさせる発言になっちゃうかもしれないけど、あれだけ時間を何回も経験して経験値が頭にあるっていうことは、ちょっと他の子に比べておばさんなわけだよ(笑)あ、頭の中身の話ね!?」

悠木「大人びている!」斎藤「そうそうそうそう!」

斎藤「だからやっぱり、オーディションのとき、若い子もたくさんいたけど、虚淵さんが急に『ちょっと斎藤さん』って言ったのは、意図があったんだなっていうのを、10話でおおー、なるほどー! って。すごく納得がいった記憶があります」

松澤「そうですね。もう、巡り巡って巡って、ですもんね、ほむらちゃん。でもそれによって、まどかの魔力が高まってしまった、っていうのが、すごいな、っていう……」

斎藤「切ないよね……」

斎藤千和暁美ほむらっぽくない言葉遣いで暁美ほむら概念をぶっちゃける。ありがたい。

悠木「魔法少女の変身バンク、魔法少女になる瞬間って、希望の象徴として語り継がれてきたものだったのが、彼女(まどか)がピンクにバーン! って変身すると絶望する、っていう。それを作った仕組み、やばいな、と思って。変身バンクに絶望を感じる日って来るんだ、みたいな。まあ、まどかの変身バンクって、ついぞ無かったんですけど(笑)変身したら世界が終わるっていう。仕組みが出来たって、すごいですよね。革命だったなって思うし、愛せば愛すほどまどかが壊れてしまうっていう世界の仕組み、おのれ、おのれ虚淵さん……!

斎藤「でも繰り返せば繰り返すほど、まどかしかいなくなちゃうんだよね。ホントに、もう。他に目を移すことができない、がんじがらめ」

悠木「だってそこで諦められないですもんね」

斎藤「もうやめられないんです、ちょっと始めちゃったんで(笑)っていうね」

加藤「それによってキュゥべえはどんどん魔力を貯めていくまどかに対抗できる人もまどか本人しかいない、こっちとしてはしめしめ、なんだよね。どうぞどうぞ、いくらでも戻ってください? その度にまどかは魔女になるしかないんだよ、っていう

斎藤「だから10話であと2話しかないのに、終わらなくない? みたいな。一番の絶望がやってくるっていう感じでしたよね。解決方法が全然思いつかなかった」

悠木「結果としてまどかが変身せざるを得ないことになるんだけど、今までずーっと『選択ができない子』だったまどかが、色んな人からたくさん愛されて……それこそ、さやかちゃんからずっと友愛をもらって、杏子ちゃんには目の前で友愛を見せてもらって、とかっていう風に、ずーっとみんなの愛情で、お母さんからも愛されて、お父さんからも愛されて、ほむらちゃんにも死ぬほど愛されて……っていうので、やっと決断できる! っていう。彼女が決断できたのは、たくさんの人に愛されたから、だったんですよね。っていうところを、十年経った今思うからこそ……私、当時やっぱ虚淵さんってすごい冷たい、怖い人だと思ってたんですよ。この話書けるってヤバ、って思ってたけど、実はめっちゃ優しい人なんじゃないか? っていう風に、今すごい思うんですよね

加藤「願い自体も慈愛に満ちたまどかだからこそ願えるものであって。そんな願いをするなんて、こっちも思ってないから……キュゥべえとしてはアフレコの時も『これビックリしていいんですか?』みたいのを悩んだ記憶があって」

鹿目まどかを理解していくあまり、虚淵玄への複雑な感情を抱く悠木碧さん。合間合間で声はキュゥべえなのに感情が出てる加藤英美里が笑える。

悠木「キュゥべえの言ったこともちゃんと聞いた上で出来ることを考えた、っていう風に思うと、よく頑張ったな、あの子って」

松澤「世界のルールを変えられる人って、こういう人なんだなって」

悠木「でもこれ、逆にですよ。ちょっとでも誰かに傷つけられて歪んでしまったり、傷になっているところがあったら、あの願いを純粋な形で叶えられなかったかも知れないですよね。それを全部成したのは、それまでに関わってきた人たち全てなんだ、と……思うんだよな、まどかって……

松澤「その対を成すわけではないんですけど、マミさんなんかは、この流れで『みんな死ぬしかないじゃない』っていう」

斎藤「ほむらはたまたま、まどかだけを見てたから、その答えには行き着かないんだけど、もうちょっとマミさんぐらい広く見てたら……まあ、同じようなことなんだよね、実は。発露が、向いている方向が違うというか。まどかだけは違うんだよね、発想が。そこはやっぱすごいなって思う」

悠木「それでも前を向けるぐらい、みんなに大事にされてきてる感じ」

斎藤「みんなに守られてる命だからね」

悠木「あとなんか、皆さん……皆さんとか言っちゃった(笑)皆さん学生さんだから、ちょっと潔癖じゃないですか。正義に潔癖というか。正しいことへの潔癖感が、最年長のマミさんでも、やっぱりあって。正しいことのために戦いたい、と思っていた純粋さ故の『みんな死ぬしかないじゃない』は、切なかったなぁ、と……

水橋さん不在ながらも、自然とマミさんの話題を拾っていこうとする松澤さんの名MC、そしてそこで提示される完璧な解答。巴マミを豆腐メンタルとか言ってるオタクにこの一節をきちんと聞いてもらいたい。

「名シーン投票企画」も全力トークの上に本編のリテイクだった

あなたが選ぶ名シーンは? 投票企画スタート! - News | 魔法少女まどか☆マギカ 10周年記念サイト

最も心に残ったシーンを1つ選んで投票する投票企画がスタート!
投票結果は、4月25日(日)開催のイベント「魔法少女まどか☆マギカ Anniversary Stage」で発表いたします。
また、選ばれたシーンの中からいくつかをイベント内で生アフレコ予定!

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時間稼ぎとかお茶濁しの企画だなぁ、と発表当時は苦笑いしていたのですが、むしろこちらが本命だったまである。ナメてました、すみませんでした。

9位、ほむらと魔法少女まどかの出会い。「クラスのみんなには内緒だよ!」

悠木「これこそが1話から3話をやってたときに思ってたやつ」

松澤「あっ、そうですね!」斎藤「タイトルから想像するやつ」

悠木「最初にほむらちゃんが見ちゃったのはアレなんですよね。だからこうなってしまった(笑)だから憧れたし、だから愛おしかったし、守りたかったっていう……だから、より希望を込めてやろう(演じよう)みたいな気持ちはありましたね。メガネのほむらちゃんが憧れてくれるような人になりたくて。で、その前にきっと憧れられるマミさんがいて。みんなが憧れを継承してきてる、魔法少女らしい『希望』がたくさん詰まったシーンでしたね

松澤「あそこは本当にかっこよかったというコメントが。キラキラしてましたね~」

悠木「キラキラしてましたね~。あれが絶望の光だとは誰も……思わなかったでしょう……私も思ってませんでした……

振り返りのトークコーナーが終わったのに、たった一言の台詞について、まだこんなに喋るなんて思ってませんでした。「憧れの継承」というキーワードが出てきたのが、本当によかった。

その後も投票されたシーンについてトークを進めながら、3位「さやかの魔女化」の生アフレコが開始。まあ台詞一言だけだろう……だと思っていたのが大間違い。

なんと、さやかが「影の魔女(エルザマリア)」を倒して、まどかと一緒にバス停で雨宿りをしているシーン、「さやかちゃん。あんな戦い方、ないよ……」からスタート。

「だったらあんたが戦ってよ……!」「ただの同情で人間やめられるわけないもんねえ!」バス停を走り去っていくシーンから、魔女化寸前のさやかを駅のホームで杏子が見つけるシーンに切り替わり……

「やっと見つけた……アンタさ、いつまで強情張ってるわけ?」

「誰かの幸せを祈った分、他の誰かを呪わずにはいられない。あたしたち魔法少女って、そういう仕組みだったんだね」

「あたしって、ほんとバカ」

「さやかあああぁぁっ!」

「この国では、成長途中の女性のことを『少女』って呼ぶんだろう? だったら、やがて魔女になる君たちのことは、『魔法少女』と呼ぶべきだよね」

投票だけでは選びきれない名台詞・名シーン、十年前の思い出の数々……もとい、本編の垂れ流し。 もう本編のリテイクじゃん、コレ!!

その後も「1位:魔女化したさやかへ、杏子の呼びかけ(独りぼっちは、寂しいもんな)」では、ほむらとキュゥべえの会話シーン(佐倉杏子には、本当に美樹さやかを救える望みがあったの?)まで、9話の後半が完全に網羅されるなどしている始末。

マギレコでは正直な話(ちょっとキャラの声忘れてるな……)と思ってしまうこともありましたが、今回そんなことはほとんど感じなかった。新作・続編がきても、まだやれるな……! と内心ガッツポーズしてました。本当に来ると思わなかったよ、マジで。

生アフレコが終わった後もトークは続く。「2位:ほむらがまどかと交わした約束(わたし、魔女にはなりたくない~銃殺)」についての話がまた印象的でした。

斎藤「あの時より色んな知識がある分、ここだ~! みたいなところ、サビ歌う! じゃないけど(笑)ちょっと気合いが入ってしまうところがあるんだけど、見てくださっている方達も、十年という歳月が経っているから、正直私達は歳を取っているし、表現の仕方も少し変わってくる部分がある、とは思うんだけれど。やっぱり今ここで実際にあおちゃんと演じたりすると、エモーショナルな、気持ちの部分は本当に一緒で。二人の空間です、あの時の

トークと生アフレコ、ClariS(二代目)の顔出しMV、新情報コーナーを抜きにしても90分以上見所しかない、素晴らしいイベントでした。今回見なかった人、次からは見てくれよな! 次の機会もあるといいな! 廻天の舞台挨拶のライブビューイングとかかな!?(気が早い)

メディア(円盤)リリースはないとして、今後も継続してレンタル配信とか、やってもらえないかな……。